クロムメッキ
クロムメッキは、大きく分けて、硬質クロムメッキと装飾用クロムメッキとに分けられます。
前者は、材に硬く厚いメッキが被着されて、確実な密着性を有し、JIS規格においては工業用クロムメッキと呼ばれています。
後者は、素材に銅、ニッケル等の中間メッキが施され、その上に薄くクロムメッキが行われているもので、耐摩耗性が小さく、密着力が弱いために剥げ易いのが欠点です。
硬質クロムメッキ
メッキ皮膜が耐磨耗性、低い摩擦係数、非粘着性などの特性を有する事からショックアブソーバーロンド、ピストンリングなどの自動車部品をはじめ油圧機器のシャフト、印刷、圧延、フィルムガイドなどの各種ロール類、金型など多くの産業に古くから利用されています。
装飾クロムのメッキ浴構成は本質的には大きな差はなく、一般にメッキ厚の違いで分類されます。硬質クロムは、厚さ2μm以上、場合によっては数100μm以上の、厚付けメッキのクロムメッキのことを指します。
特徴
成型金型類に施すことで、離型性が向上し、製品が美しくなる他、型の寿命も大幅に延びます。
硬度が大きいことから機械部品や工具類に施すことによって、耐摩耗性が著しく向上します。
また、耐食性においては、化学・食品工業の分野でも活躍しており、さらには自由な厚さで部分メッキも可能なため、部品の補修や摩耗した部品の再生ができるなど工業界に大きく寄与しています。
用途・機能
用途
以下のような特徴を活かして、様々な用途に活用されています。
- Hvが800~1,000と非常に高い。
- 潤滑油を使用する環境下では保油性の面でも好ましい。
- 摩耗した部分に肉盛りをすることにより部品の再生が可能。
- 金型などはメッキによって再生させる方が経済的であり、寿命面でもメリットが大きい。
- 400℃以下の高温酸化雰囲気中で使用可能。
- 大部分の化学薬品に対し耐食性を有する特性がある。
用途例
シリンダ、各種金型、ゲージ、軸受け、シャフト、エンジン部品、各種塔槽類、熱交換器、バルブ、フランジ・ポンプ
機能
硬度、潤滑性、再加工性、肉盛性、離型性(非粘着性)、低摩擦係数、耐熱性、耐薬品性
黒クロムメッキ
漆黒調の皮膜が得られる代表的なメッキです。
特徴
メッキ直後の皮膜に光沢がない場合は、後処理として、ワックス仕上げ、シリコン仕上げなどのつや出しも行う必要があり、色調べやつやはメッキ浴組成や電着条件によっても異なるため、各工場では微妙に異なる場合が少なくありません。
用途・機能
用途
高級カメラの上蓋(グンカン部)やエプロン、底部、あるいは自動車やオートバイの各部品に広く利用されているほか、弱電部品や通信機部品(放熱効果を目的としたシールドケース等)、時計側、事務機等に活用されています。
機能
耐磨耗性に乏しいため、摩擦を伴う部品には不向きですが、後処理に独自のノウハウを有している工場では比較的耐磨耗性にすぐれた黒色クロムメッキを提供しているところもあります。
耐食性は大で、塗装等他の黒色化にくらべてもっとも耐久性のある皮膜が得られ、塗装の密着性も良好です。